今日、四号機の燃料棒が一本取り出されている映像をニュース番組でみた。
ほんとうにぼろぼろの原発建屋に数人の作業員が無防備に立っているようにみえた。燃料棒に触れているひともいる。 遠い場所の出来事のようでもあり、 あまりに近すぎてぞっとするのも通り越しているようにも思える。 まだ、先は見えない。 ふと、2011.3.11のころ、というより、その少し前に読んでいた、佐々木中の本について思い出していた。『切り取れあの祈る手を』というその本は、歴史のなかで革命がいかにして起きたか。を、面白い切り口で語った本だった。小説でもなく、論文でもなく、作者の語りを文字におこしたもの。こういう本がどういうカテゴリーにはいるのか、知らない。 読んだ当初、わたしはとても感動した。それまでもやもやとあの時系列に整列させられている歴史というものの退屈さに辟易していたので、ああ、こう言ってくれると、歴史は、革命というものはなんて魅力的なんだろう。と、目から鱗がぽろぽろおちた。読書の醍醐味を味わった本だった そんな読書のあと、しばらくして大地震と原発事故があった。 そのとき、この味わい深い本の内容は、わたしのなかでしゅうしゅうと音を立ててしぼんでいった。 災害を経験する前には、革命前夜というものが、どういう時代でも社会にも、潜在しているということを思って、ときめいたのだとおもう。実際に何かを起こすかどうかは別として。そして、それが、読書そのものによるものだ。という、新鮮なものいいに引き込まれたはずだった。 あれほどおそろしい原発の存在を見て見ぬ振りをしていたことにたってみれば、革命前夜の偏在への陶酔などあまりにも呑気すぎた。 一冊の本の読み方が瞬時に変わってしまった。それだけのことなんですけど。 なぜか、取り出されたたった一本の燃料棒をみて、この本のことを思い出したのでした。 #
by owanto
| 2012-07-18 23:08
| 本のこと周辺
鵜の木の市も無事おえました。ご来場のみなさま、ありがとうございました。
今年も、もう半年が過ぎました。 今年のはじめは、ベルリンに行ったり、おもしろいことも多かったのですが、 比較的、静かにすぎていきます。 なぜなら、今年は子供中心の生活に切り替えているからです。 あるとき、ふっと 「もう、子供時代もそうながくない。大きくなってしまうんだ...」 喜ばしいことではあるのですが、きゅうに寂しい気持ちもわいてきて、 子供時代の密着を、十分に楽しむ一年にしたのでした。 時間は半分に減りましたが、 絵描き活動とはちがった充実がありました。 来年からは絵の展示の予定も入っているので、また、ごりごりやりたいです。 今年はそんなふうにゆったりしてはいたのですが、 なぜか、1月の馬喰町でのシルバー作品の出品を期に、たえまなく 「シルバー出して」といわれて、そのたびに、スーツケースをごろごろ引いて、 「屋台」に店開きをしています。 なにかににている....。 そう、寅さん! まるで、寅さんです。 今年は、そんなふうに半分過ぎていきました。 7月にもうはいっていますが、 いろいろ広げてしまったお店の統合を目的として、後半戦に望むつもりです。 写真は鵜の木の古い喫茶店「よし乃」内部です。 タイムスリップ..... #
by owanto
| 2012-07-06 10:13
| 日々の瑣末
今週末30日は鵜の森てづくり市です。
詳細記事 そこに出す雑貨の一部。 怖いさるのバッジ、仕上げちょいまえのものです。 怖いですか? あれ?ぜんぜん? 魔除けにしてください。 ではおまちしてます。わたしは多分おりませんが、 時間によっては近くにいるかもしれませんので、 おでかけのさいはひとこと声をかけてくださいませ。 #
by owanto
| 2012-06-27 14:57
| information
夜はやくふとんにはいったときには、シートン動物記を読みきかせします。
自分もかつて読んだ気もするのですが、動物本で、わたしがはまったのは、戸川幸夫の『高安犬物語』でした。高安犬というのは、熊狩りのための猟犬です。熊を襲うために仕込まれるわけですが、熊の油なんかを口の中に塗り込まれたり、そういうシーンをよく覚えています。感化されやすいので、熊狩りの本を読んでいる間は、またぎに憧れ、鷹狩りの話を読んでいるときには、鷹匠に憧れたりしました。いまでも、鷹匠には憧れます。 さて『シートン動物記』ですが、昨日、ぎざみみうさぎの話が読み終わりました。すこしずつ読むと、案外時間がかかるものです。ぎざみみうさぎはこうさぎで、おかあさんとのウサギ生活が描かれています。おかあさんは敵から身を守る術をぎざみみに伝えていきます。二匹のウサギの様子はとてもあいらしく、そしてたくましいです。 物語の最後、おかあさんはキツネにおわれて冷たい沼のなかで息絶えてしまいます。読んでいて、思わず泣けてしまいました。引用してみます。 ーぎざ耳ーあるわた尾うさぎの物語 より ぎざ耳は、二度とおかあさんに会えなかった。どこへいったかもわからなかった。おかあさんは、なかよしの水の、氷のうでにだかれて、二度とさめないねむりについたのだが、水は、そのことをなにも話してくれなかったのだ。 かわいそうな、小さいふかふかかあさん。おかあさんは、ほんとうに女の英雄だった。 だが、そういう英雄は、何百万と数えきれないほどいる。そういうおかあさんたちは、じぶんが英雄だなどとは、少しも考えずにくらした。そして、じぶんの小さい世界で子どもをりっぱにそだてるために、せいいっぱいはたらいて、死んでいった。ふかふかかあさんは、そのうちの一ぴきだっただけだ。 おかあさんは、生きていくための戦いで、りっぱに戦った。すぐれた頭をもっていた。おかあさんは死んだが、そういうものはほろびなかった。おかあさんのからだ、おかあさんの頭は、ぎざ耳にうけつがれたからだ。 #
by owanto
| 2012-06-21 09:27
| 本のこと周辺
多摩川線沿線の鵜の木にある珈琲も飲めるアートギャラリーhasu no hanaさんで
6月30日(土)に鵜の森手作り市が催されます。 わたしもお声をかけていただき、参加することになりました。 シルバーとあたらしく作ったバッジなどです。 いつもhasu no hanaの展示には、オーナーのセンス(いったいどこからこんなおもしろいひとたちをみつけてくるの!)に楽しませてもらっています。 お時間ありましたら、一日限りの市場におでかけくださいませ。 (こちらは大森のギャラリーファーストライトの展示の様子です) アートギャラリー hasu no hana #
by owanto
| 2012-06-18 22:55
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